奥深いコレステロールの世界:代謝メカニズムの扉を開ける!

コレステロールは体の代謝にとって非常に重要な脂質です。悪いイメージが強いですが、奥深い体の代謝の世界を知ったら、コレステロールの新しい顔が見えてくるかもしれません。コレステロールは体中を巡り、体に大切なものを作ってくれていたんです。

目次

  • 素朴な疑問、コレステロールって体内にずっとあるの?
  • コレステロールの役割
  • コレステロールの生合成は肝臓で
  • コレステロールの代謝経路
  • 食べ物からコレステロールを摂取すると
  • 脂質代謝異常症(不全)とは?
  • コレステロールは体にとって必要不可欠なもの


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素朴な疑問、コレステロールって体内にずっとあるの?

​悪玉コレステロールのイメージが強いコレステロール。貯めたらいけない、体に悪いと思っていませんか?実はコレステロールは生きていく上でとても大切な働きをしています。コレステロールは体の中をぐるぐると巡って細胞膜やステロイドホルモンを作ったり、胆汁酸にのって排出されていきます。今回は、そんなコレステロールの知られざる重要な働きに迫っていきたいと思います!

コレステロールの役割

細胞膜構成成分

三大栄養素にたんぱく質、炭水化物、脂質があります。コレステロールはこの脂質の一種です。近年、悪玉コレステロールの悪い噂が広がり、あまり良いイメージのないコレステロールですが、コレステロールは生きていく上で必要不可欠なものです。

人の体は60兆個の細胞の集まりから出来上がっています。それぞれの細胞は独立して器官となったりして体を構成していますが、その細胞を保護しているのが細胞膜です。

細胞膜は、リン脂質、たんぱく質、そしてコレステロールで出来ています。細胞はこの細胞膜を通して、様々な物質を出入りさせています。また、外から有害物質などの侵入を防ぎ、柔軟性を保って安定させる働きもしています。

人の体には、100〜150gのコレステロールがあると言われています。コレステロールが不足すると、細胞膜が弱まってしまいます。するとウイルスなどが侵入してきたり、血管の壁が薄くなってしまうことで脳出血を起こしやすくなってしまったりといったことも起こります。

ステロイドホルモンの原料になる

コレステロールの役割の1つに、ステロイドホルモンの原料となるということが挙げられます。ホルモンも生きて行く上で必要不可欠のものであり、男性らしさ、女性らしさなどを作り出すものでもあります。

ステロイドホルモンがコレステロールから作られる過程は次のような流れになります。

​体内の動き
​細胞の中にある小さなミトコンドリアが、コレステロールを材料にして「プレグネノロン」というホルモンを生成します。
​「プレグネノロン」は血液に乗って副腎や卵巣に運ばれます。
​副腎・卵巣に運ばれると「プロゲステロン」と「17ーOHープレグネロン」というステロイドに変換されます。
​体が必要とした時に、「プロゲステロン」と「17ーOHープレグネロン」から必要な種類のステロイドホルモンを作り出します。

コレステロールという材料がなければ、体に必要不可欠な様々なホルモンが不足してしまうのです。


カルナ博士
なるほど!コレステロールとは悪玉コレステロールのイメージであまり良くないものじゃったが、実は大切な成分なんじゃのぉ!わしもコレステロールをなくそうとスリムになるように心がけてきたんじゃが、少し考えが変わりそうじゃな。
ひばり
博士はもう少しスリムになった方がいいわよ。とにかく何事もバランスが大切ということね!

コレステロールの生合成は肝臓で

細胞膜やステロイドホルモンの材料となる肝心のコレステロールは、およそ80%は体内で、20%は食事から摂取されていると言われています。80%のコレステロールは体内で次のようにして作られていきます。

中性脂肪(トリグリセリド)は肝臓に沈着して貯蔵脂肪となる

​体内での動きメモ​
​私たちが食事で摂取した脂肪は、リパーゼという脂肪を消化する酵素によって分解されます。​↓​ー
​そして、中性脂肪(トリグリセリド)から分解されて「脂肪酸」と「グリセロール」というものに分解されます。​↓​​ー
グリセロールは水に溶ける性質があるので、小腸から毛細血管へと吸収されていき、代謝されたり、ブドウ糖になったりします。一方、脂肪酸は水溶性ではないので、ミセルという水になじむ部分と油になじむ部分をもった粒子となって、消化管粘膜の吸収上皮細胞内に吸収されていきます。↓​​脂肪酸が吸収される際の、脂肪酸の大きさによって代謝方法が変わってきます。​​
​一部の脂肪酸(長鎖脂肪酸)は、腸壁を抜けた後に腸管粘膜上皮細胞の中でサイドグリセロールと結合してから中性脂肪(トリグリセリド)に戻ります。そして中性脂肪は、たんぱく質と一緒になってリポタンパクになります。↓​​4種類あるリポタンパクのうち、このリポタンパクを「カイロミクロン」と言います。​​
​カイロミクロンは、リンパ管→胸管→鎖骨下静脈と入っていき全身に運ばれます。そして、血液にのって、肝臓や脂肪細胞へと送られて行き、その場所に沈着するのです。​この沈着したカイロミクロンを「貯蔵脂肪」と言います。


貯蔵脂肪は肝臓でβ酸化を受け、アセチルCoAに​

​体内での動き​メモ
​沈着した貯蔵脂肪は、体がエネルギーを必要とする時がくるまで貯蔵されます。​​この貯蔵脂肪が多い状態がいわゆる肥満状態です。​
​必要とされる時がきたら、貯蔵脂肪は肝臓に送られます。肝臓に送られた貯蔵脂肪は、肝臓の中でβ酸化というものを受けることで、アセチルCoAというものになります。​​アセチルCoA​から脂肪酸が合成されます。


アセチルCoAを原料としてコレステロール生成に進む

コレステロールを一つ作るためには、このアセチルCoAが18個と、たくさんの酵素反応が必要です。少し難しいですが、コレステロールが体内で作られる経過を説明します。​​

​体内での動き
アセチルCoAが2個結合​します。↓
アセトアセチルCOAができます。これにさらにアセチルCoAが結合​します。↓​
​HMG―CoA(βヒドロキシβメチルグルタールCoA)に変化​します。↓​
還元酵素の働きでメバロン酸に​なります。↓​
​何段階か経てスクワレンという化合物に​なります。↓​
​コレステロールの特徴であるステロイド骨格ができます。↓​
​また何段回か経てコレステロール完成!!​↓​

ひばり
中性脂肪は、蓄積されすぎると肥満となりますが、肝臓に蓄積した中性脂肪が肝臓の10%以上になってしまった状態を脂肪肝と言います。通常の健康な肝臓には中性脂肪が1〜4%程度です。
しかも脂肪肝は、そのまま原因を放置しておくと、肝硬変に繋がる怖い病気です。日頃から運動したりして、余分な脂肪を溜めないようにすることも大切ですね!

コレステロールの代謝経路

肝臓で胆汁酸に変換される

体内で作られたコレステロールは、肝臓で解毒酵素のチトクロムP450によって胆汁酸というものに変換されます。そして、胆嚢、十二指腸、腸、そして肝臓へとぐるぐる循環しています。体内で作られたコレステロールは、胆汁酸として体内を循環している事になります。胆汁酸は、腸内を弱アルカリ性に保ってくれたり膵液、腸液と一緒に胃酸を中和させたり、脂肪を分解してくれる働きがあります。小腸で吸収されなかった胆汁酸はコレステロールの代謝物として便となります。こうしてコレステロールは体外に排出されていくのです。

ちなみに、胆汁酸の濃度が低下すると、コレステロールが集まってしまって胆嚢の胆石としてたまりやすくなってしまいます。一般的には肝臓が男性よりも小さい女性の方が胆石ができやすいと言われているようです。

副腎皮質などでステロイドホルモンへと代謝

コレステロールは、「性ホルモン」や「副腎皮質ホルモン」などのステロイドホルモンの原料となっています。コレステロールは細胞膜の構成成分だというお話を冒頭しました。ホルモンの材料になるのはこの細胞膜ではなくサイトゾルという細胞の内側に貯蔵されているものになります。サイトゾルに遊離しているコレステロールは、脳の視床下部から下垂体を通して指令を受け取ると、ミトコンドリアまで運ばれます。

ミトコンドリアに運ばれたコレステロールが、ミトコンドリア内膜にあるチトクロムP450という酵素によってプレグネノロンという物質が作られます。プレグネノロンは、血液を介して副腎や卵巣に運ばれていきます。副腎、卵巣に運ばれたプレグネロンは、「プロゲステロン」と「17-OH-プレグネロン」といステロイドに変換されます。これらが体の必要に応じた様々な種類のステロイドホルモンの材料となるのです。

ひばり
コレステロールが胆汁酸にならないと体外に排出されないんですね。ちなみに胆汁酸にするためのチトクロムP450を活性化させてくれるものとしてアブラナ科の植物に含まれる「イソチオシアネート」があるそうです。


食べ物からコレステロールを摂取すると

肝臓での生産を調整する

食事から摂取するコレステロールは20%、体内で合成するコレステロールは80%ですが、実は体内には、常にコレステロールが一定量になるように調整してくれる働きも備わっています。もし食事からコレステロールを取りすぎてしまった場合には、体内で合成されるコレステロールの量を抑えてくれるという機能が働くのです。

食事から得たコレステロールは、カイロミクロンというリポタンパクになって肝臓には入ります。肝臓はこのカイロミクロンの中のコレステロールにしっかりと反応し、肝臓でのコレステロール合成を抑えたり、余分なコレステロールは胆汁酸として便にのり排出されるようにしてくれています。

脂質代謝異常症(不全)とは?

原因  

脂質代謝異常症とは、ほとんど自覚症状のない病気です。脂質の代謝が上手にできず血液中に異常に脂質が増えてしまう病気です。血液に含まれる脂質の種類によって3種類に分かれています。 

高LDLコレステロール血症LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が多い
低HDLコレステロール血症HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない
高トリグリセライド血症中性脂肪が多い

内臓脂肪の多い人は、LDLコレステロールや中性脂肪というものが多く、HDLコレステロールが少ない傾向にあるようです。 これらは、生活習慣の乱れや遺伝的な要因で起こると考えられています。

また、この他にも脂質代謝異常症は原因によっても分かれています。

原発性生活習慣の乱れ、家族性高コレステロール血症など遺伝的なもの
続発性ホルモンの分泌異常、他の疾患、薬などによって起こるもの

脂質代謝異常症の原因って?

食べ過ぎ
アルコールの飲みすぎ

運動不足
肥満
喫煙


このように、多くの原因は食生活にあるといってよいでしょう。高LDLコレステロール血症の場合は、動物性脂肪の多い肉類や乳製品などの食品、コレステロールをたくさん含んだ卵や魚卵、レバーが好きでよく食べる人などは要注意です。慢性的にカロリーを取りすぎていることも原因の一つです。

また、高トリグリセライド(中性脂肪)血症の場合は、食べ過ぎ、飲みすぎ、高カロリーの食事ばかりをしている慢性的なカロリーの取りすぎが一番の原因と言われています。とくに飲酒は飲みすぎないようにしましょう。中性脂肪が増えてしまいます。

そして低HDLコレステロール血症の場合は、運動不足、肥満、喫煙などが原因とされています。バランスよい食事や適度な運動などをするように心がけましょう。

診断基準

脂質代謝異常症の診断基準は、日本動脈硬化学会のガイドラインで以下のようになっています。

高LDLコレステロール血症140mg/dL以上
境界域高LDLコレステロール血症
120〜139mg/dL以上
高グリセライド血症(中性脂肪血症)150mg/dL以上
低HDLコレステロール血症40mg/dL未満


家族性高コレステロール血症は遺伝子疾患

家族性高コレステロール血症は、生まれつき、血液の中に悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが異常に増えてしまうという病気です。LDL受容体の遺伝子や、これを働かせるための遺伝子に異常があって、血液中のLDLコレステロールが細胞に取り込まれないまま血液に溜まってしまう病気です。この病気は、100万人に1人、日本では120人程度とされていましたが、この病気に関わっている新しい遺伝子が見つかりこれより多い数なのではと言われています。そして、父、母、両方に高コレステロール血症がある人に多いようです。

症状としては、10歳までに肘や膝などの皮膚に黄色腫と呼ばれる黄色をしたイボ状の塊が見られることが多いです。そして成長していくにつれて、盛り上がった黄色腫が見られるように。

そしてLDLコレステロールが増えすぎると血管が傷つけられ動脈硬化を起こし、進行すると階段を上がると胸が痛んだり苦しくなったりという症状がでることがあるようです。

家族性高コレステロール血症になってしまった場合、食事療法や運動療法、スタチンを始めとする脂質低下薬というもので治療をすることになります。効果が足りない場合は、LDLアフェレシスという治療法を試したりするようです。大切となるのは、早期発見、治療が大切で、治療が遅れるほどに動脈硬化は進行してしまいます。

カルナ博士
これは恐ろしい病気じゃのう!アルコールの取りすぎ、食べ過ぎ、運動不足……​。うーんどれも当てはまるような…​…​。怖くなってきてしまったわい!ひばりくん、近くに通いやすいジムがないか調べておいてくれ!

ひばり
博士、それは自分で調べてね。脂質代謝異常症、とっても怖いですね!みなさんもぜひ定期的に検査をして、異常がないか確認してください。


コレステロールは体にとって必要不可欠なもの

いかがでしたか?難しい言葉もたくさん出てきてしまいましたが、人の体は本当に奥深いですね!

普段は悪役のイメージだったコレステロールも、生きていく上で絶対に必要不可欠なものだとわかりました。そして、やはり日頃からの小さな努力の積み重ねが健康な体につながるということがよくわかりましたね!コレステロールを上手に味方につけて、生き生きと楽しい毎日を送りたいですね!

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