<コレステロールと動脈硬化>メカニズムと食事制限不要説を検証!

「コレステロール値が気になる…えっ、動脈硬化?なんだか急に不安になってきた…」その不安を煽るつもりはありませんが、動脈硬化は体に悪影響を与える事が多いのは事実。コレステロール=悪!と自己判断で色々始めるとあなたにとっては間違いになることも。

目次

  • 血液検査でコレステロールがひっかかる
  • 「静かなる殺し屋」動脈硬化のメカニズム
  • 動脈硬化により引き起こしやすい病気(脳梗塞、心筋梗塞など)
  • コレステロールを制限すれば病気にならない…は嘘?
  • 動脈硬化を防ぐ・改善するために
  • コレステロールを意識しつつ、良い生活習慣で動脈硬化を防ぐ!
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血液検査でコレステロールがひっかかる

コレステロールが気になっちゃって」と笑って話せるうちはまだしも、実際に健康診断などの血液検査でコレステロール値に異常(高い・低い)が見られると誰しも多少の焦りは出るものです。自分の身に降りかかってようやく「そういえばコレステロールって結局なんなんだろう」「動脈硬化って…?」とよく耳にしてきた言葉への疑問が大きくなってきます。「コレステロールと動脈硬化の関係性やメカニズム」を知ること、そして「今日から出来ること」をさっそく取り入れていきましょう。

カルナ博士
ワシもそうじゃったからよく分かる…。若いときに健康なんて大して気にも留めないんじゃ。しかしまだまだ若いと思っていたある日、健康診断の結果におののく…。

20代や30代でも不摂生をしていれば、やがて積み重なって年を取ったときにしっぺ返しが来るかもしれんよ。
ひばり
博士、今日は「不摂生しがちな若者たち」もですが…。「コレステロール=絶対的な悪」という少々極端と言いますか、間違った自己療法をし兼ねない方向に進みそうな人たちへ向けても「コレステロールと動脈硬化」についてリサーチしましたよ!

「静かなる殺し屋」動脈硬化のメカニズム

最大危険因子「悪玉コレステロール」

およそ60兆個もの細胞で作られているわたし達のカラダ。細胞がなければ精子や卵子を作ることも出来ないので人間は生まれてきませんし、他にも身体中を作っているものが細胞ひとつひとつです。この細胞は膜に覆われて大切にされていますが、その膜こそがコレステロールで合成されています。さらに身体が正常に機能し続けるように分泌されている「ホルモン」や食べた物の消化吸収を行う材料となっているのが「コレステロール」の役割です。つまり、「コレステロール=悪」ではなく、生きる上では必要不可欠な存在でもあるのです。

悪玉コレステロールとは善玉コレステロールとは
  • 血液を使って全身にコレステロールを運び、巡らせる役割
  • 不要なコレステロールは血液中に残ったままになる
  • 基準値は139mg/dlまで
  • 血液中のコレステロールを拾いながら肝臓へと運ぶ役割
  • 運ばれたコレステロールは肝臓でホルモンなどへと姿を変える
  • 不要なコレステロールはきちんと体外へ排出
  • 基準値は40~99mg/dl

上の表が「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」の違いです。しかし「悪玉」と言っても完全に不要なもの、というわけではなくある程度の量は体内にコレステロールを運ぶために必要になっています。「使えないコレステロール」が出てしまうほどに増えることが問題なのです。

血管壁に傷がついて、その隙間から悪玉コレステロールが入り込む

ここまでの基礎知識を踏まえた上で【悪玉コレステロールと動脈硬化の関係】を見ていきましょう。

「動脈硬化」というと皆さん「血液がドロドロなど血管に異常が生じておこるもの」というイメージを持たれると思います。ほぼそのイメージ通りですが、もう少し詳しく掘り下げると通常わたし達の身体は血液や血管の働きを正常に保つために3種の膜によって動脈を守っています(内側から内膜→中膜→外膜)。さらにその中の「内膜」を「内皮細胞」が守っています。しかし健康状態の悪化などによって血管に過剰な圧力や負担がかかると、内皮細胞に傷がついてしまうことがあります。その小さな傷が入口となり、「悪玉コレステロール」が内膜に侵入してしまうのです。

入り込んでから酸化LDL になる

内膜に侵入した悪玉コレステロールは「酸化LDL」へと姿を変えます。これは「LDL=低比重リポたんぱく」が体内の活性酸素によって酸化したもの。本来わたし達の身体にはそういった「酸化」を防ぐ働きをする「酵素」や「ビタミン類」も備わっているのですが、喫煙や加齢によって酸化を促進してしまうと言われています。

マクロファージ(白血球の仲間)が酸化LDLを取り込んで泡沫細胞になる

内膜の傷をキッカケに侵入した悪玉コレステロールが酸化LDLとなった場合、もちろん身体はそれを放っておきません。単球と呼ばれる白血球がすかさず内膜に入り込みどうにか処理をしようと働きかけます。そして細菌やウィルス、がん細胞などを消化する「マクロファージ」という細胞へと分化します。まさに体内のヒーローのようなマクロファージはもちろん酸化LDLをも処理しようと働きます。しかし酸化LDLが多いほどマクロファージはキャパオーバーとなり、死んでしまうのです。

血管壁に新着し「脂質プラーク」(こぶのような塊)を作る

ではここで一度、少し振り返ってみてください。動脈を守っている内膜に傷がつき、侵入してくるモノは何だったでしょうか?そう、「コレステロール」です。これが「酸化LDL」の元でしたよね。マクロファージが死んでしまうと、LDLに入っていたコレステロール(脂肪なども)がドロドロの状態で内膜に張り付くようになり、内膜を分厚くしていきます。その結果、血管の壁にこぶのような「プラーク」が出来上がる、という仕組みになっています。そうなると、血管はどんどん狭くなります。このドロドロの状態がお粥のようであることから、「アテローム(粥状の)動脈硬化」と呼ばれます。

栄養や酸素が十分に送れなくなる「動脈硬化」が恐ろしいのは言うまでもないことですが、こうして「コレステロール値の異常」をキッカケに動脈硬化のリスクが上がっていくのです。

プラークが破れると血栓ができ、この血栓で血管がつまる

プラークが出来ているだけでも血管はせまい状態なので、体内に栄養などを運んでいる血液の流れが悪くなっていますが、さらにプラークは破れてしまうこともあるのです。破れたプラークを直そうと血小板が働きかけますがそれがキッカケとなり、結果として「血栓(血のかたまり)」となってしまいます。これは血液にとっては【通行止め】のようなもので、その先に栄養も酸素も運ぶことがまったく出来なくなることもあるのです。しかし「血栓」自体は血流に乗っていけてしまうので、最悪は脳にまでたどりついてしまいます。そうして起こるのが、「脳梗塞」などの症状です。

善玉コレステロールが減ると…

善玉コレステロールが足りている状態」をイメージすると分かりやすいかと思います。先ほど上の表で簡単に説明しましたが、「善玉コレステロール」の役割は不要なコレステロールの回収も含まれていると言われます。不要なコレステロールが蓄積されるとどうなるかは、今までお話した通り。つまり善玉コレステロールが減ってしまうと動脈硬化にもなりやすくなっていく、と言えるでしょう。

中性脂肪が多くなることで悪玉が「小型化」する!

実はエネルギー源ともなり、体温を維持したり内臓を守っていると言われる「脂質(中性脂肪・コレステロールも含まれます)」は生きる上で必要な存在です。しかし必要な量はそれぞれ決まっているので、必要以上に増えると「余り」が出てしまいます。行き場を無くした余った分はぜい肉など「不要な中性脂肪」と姿を変えるのです。「食べ過ぎはよくない」とはこういうことでもあるのです。

そして過剰に増えた中性脂肪は悪玉コレステロールを小型化してしまうこともあります(理由については解明されていないそうです)。【傷口から侵入する】性質も持っている悪玉コレステロールが小さくなれば、動脈硬化のリスクも自然と上がることは想像に難くありません。それだけではなく小型化した悪玉コレステロールは【吸収されにくく酸化されやすい】という特徴を持っているため「超悪玉」と呼ばれることもあります。

「脂質異常症」と診断された人は要注意

脂質異常症(高脂血症)」は脂質が基準値よりも高い数値になってしまっている状態で、いわゆる「血液がドロドロ」をイメージするといいかもしれません。この脂質の中にはコレステロールや中性脂肪も含まれているので、検査で「脂質異常症」という結果が出た人は特に注意が必要と言われています。特に高血圧の人はすでに血管に負担がかかっているところにさらに打撃を与えるようなもので、傷もつきやすくなる、とされます。またインスリンの不足によって中性脂肪が増えることもあるので糖尿病を持病に持っている人も要注意と言えるでしょう。

怖いのは「脂質異常症」は自覚症状があまりないとされる点なので、これからご紹介するような生活習慣に気をつけ、健康診断の結果を大事にしてください。

他にもある危険因子(高血圧、肥満、糖尿病、喫煙など)

高血圧

血液の流れを悪くしてしまう高血圧ですが、流れが悪い状態でも身体はなんとか血液を循環させようと働きかけます。これが「動脈硬化」へと進んでいる状態です。さらに血圧が上がってしまうという悪循環を招いていることが【高血圧と動脈硬化】でもっとも怖い理由のひとつです。さらにこの2つ(高血圧&動脈硬化)が重なることで脳卒中・脳梗塞・心筋梗塞などのリスクが高まり、「高血圧による合併症」とされ恐れられているもののひとつでもあるのです。

高血圧は放置せず、早めに医療機関を受診し治療を開始することをおすすめします。

肥満・糖尿病

特にリスクが高いと言われているのは内臓に余計な脂肪が多くついているタイプの「内臓脂肪型肥満」です。この状態は「皮下脂肪型肥満」と比べ、コレステロールが多く動脈硬化ともつながりやすい、とも言われているのです。また肥満は善玉コレステロールを減らす作用もあると言われ、その点においても非常に危険度が高い身体の状態、と言えるでしょう。

喫煙

喫煙は血管を縮める作用を持ち、善玉コレステロールを減らすとも言われています。さらに喫煙を続ける=酸欠状態を招く、と言っても過言ではありませんので「百害あって一利なし」とはまさにこの事でもあるのです。喫煙は代謝も悪くしてしまうので、太りやすく(肥満リスクが上がる)喫煙1回で血圧は上がります(15分以上続くとされる)。

すべての元凶にもなりかねない喫煙、すぐに禁煙は難しくても本数を減らす・禁煙外来へ行くなど出来ることから始めていきましょう。


この他、例えば「コーヒーの飲みすぎ」なども動脈硬化を招くかもしれないと言われたり、身近なところにその危険因子は多くひそんでいます。全てを完璧な生活習慣に整えることは現代社会では難しいかもしれませんが、ひとつでもそのリスクを減らすことが健康な血管や血液を保つコツかもしれません。

動脈硬化により引き起こしやすい病気(脳梗塞、心筋梗塞など)

「動脈硬化」と聞いて多くの人が思い浮かべる引き起こしやすい病気は「脳梗塞」そして「心筋梗塞」だと思います。他にも動脈硬化がキッカケとなって引き起る病気は存在しますが、今回はこの2つの病気についてお話します。


まずは「脳梗塞」について。運動する際にエネルギーや酸素が必要になるのと同様に、脳も機能していく上でそういったものを必要としています。しかし血液が上手に流れていかないと、これらの「必要なもの」を脳へ運べなくなります。そうして脳の細胞に異常が発生し起こるのが「脳梗塞」と言われています。そして脳梗塞が起こった原因が「動脈硬化」である場合には「血栓性」と呼ばれるタイプのものになります。


心筋梗塞」については、その名の通り心臓の筋肉が関わってきます。心筋への血液運搬は「冠動脈」が担っていますが、この「冠動脈」はプラークが破れるなどで【通行止め状態】になることがあります。通行止めされた部分より先の心筋が最悪の場合死んでしまうことを「心筋梗塞」と呼びます。

同じく心筋に関わる病気として「狭心症」がありますが、これも動脈硬化などにより血流が一時的にストップしたり、流れが悪くなっている状態のときに興奮など外的なことも含めた刺激などをキッカケに心筋が酸素不足に陥ってしまう状態を表す病名です。

コレステロールを制限すれば病気にならない…は嘘?

日本動脈硬化学会によると

とにかくコレステロールを摂らないようにすればいいはず」と思っていませんか?

実は2015年アメリカ農務省は「食事中のコレステロール摂取と血中コレステロール」の関係には摂取制限をするほどの明らかな根拠が無いとし、「コレステロールの摂取制限」を一般国民向けのガイドラインから外しています。さらに日本でも、同様の理由から2015年「日本人の食事摂取基準」においてコレステロールの摂取制限を推奨することをやめています。ただしこれは「健常者の場合」に当てはまるもので、すでにコレステロールに関わる疾患を持っている人(例:高コレステロール血症)などは摂取制限をすすめられることもあるそうです。


また、日本動脈硬化学会はコレステロールの摂取制限だけに集中しても悪玉コレステロールが減るという期待はほとんど持てず、それ以上に「生活習慣」が重要であるとしています。もちろん食はすべての基本となりえますので「食事療法」も大切なことではありますが、「脂肪酸のバランス」に気を配るべき、としています。

具体的な生活習慣の見直しのポイントや食事で動脈硬化のリスクを少しでも減らす方法は次の項目をご覧ください。

動脈硬化を防ぐ・改善するために

和食を中心にバランスよく

高血圧の人に向けた食事療法としてよく知られている方法は「DASH食」と呼ばれる、特にアメリカで研究が進み高血圧への効果も認められているものと言われています。具体的にはカリウムや食物繊維といった色鮮やかな野菜に含まれていることの多い栄養を積極的に摂取脂肪分の多い肉などは避けるといった内容が基本になっています。日本人がこの方法を取り入れる場合には減塩も合わせて行っていくことが多いそうです(日本人の食生活は塩分過多になりやすい)。


先ほどの「食事と悪玉コレステロール値の関係に明確な根拠が見つからない」というのは個人差も理由のひとつに多いようです。そのことから、自分にぴったりの食事療法を見つけたい場合には医師への相談も必要となり、「DASH食」に関しては糖尿病や合併症などを伴っていないことも前提にされています。自己判断でのDASH食は少し危険かもしれない、そう思う人にもおすすめしたい一番の食事は「和食」です。さまざまな栄養素をバランス良く摂取でき、塩分に関しても出汁をしっかり取るなど、分かりやすい減塩方法も大きなメリットになっています。


もちろん、「和食中心」の場合にも気をつけたいポイントがあります。

  • 食べ過ぎないようにコントロールすること
  • 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす食材を意識すること

「食べ過ぎ注意」は言わずもがなですが、身体はその時々・人それぞれ「必要な分」がありオーバーした分に関しては上手に処理できないことも多い、とここまでを読んで理解していただけたかと思います。

では「悪玉を減らし・善玉を増やす」食材とそのメカニズムを簡単に見てみましょう。

悪玉は減って、善玉が増える食材

  • 大豆(レシチン)…過剰なコレステロールを代謝する働きを持つ
  • 魚(EPA/DHA)…血栓を作らせないように働き・悪玉減少・善玉増量の作用を持つ
  • 海藻(食物繊維)…血圧を上げるキッカケとなる便秘の解消をサポート
  • ホウレンソウやたけのこ(カリウム)…塩分を排出する働きを持つ

控えたい食材としては、塩分過多になるもの・砂糖香辛料など刺激の強いもの、などが挙げられます。

カルナ博士
そういえば「食事制限は不要説」の答えは結局どうなるんじゃ…?
ひばり
それぞれの体の状態などをふまえて、「医師と相談しつつすべき場合」と「自分で出来る範囲で気をつける場合」がある、というのが答えかと。

どちらにしても、暴飲暴食や偏った食生活は避けましょうね、博士!

お酒は適度に、禁煙しましょう

お酒に関しては少々複雑な面があり、血管や心臓の働きを弱めたり強めたり…個人個人の体質や習慣などによっても変わってくるとされています。お酒=悪、とも一概には言えず、血液をかたまりにくくしたり善玉コレステロールを増やしてくれたりする一面も持っているそうです。

しかし問題は「量と頻度」。日々の飲酒量と血圧の上昇は比例していく、と徐々に明らかにもなっていると言われています。アルコール1日30ml(日本酒で1合)によって血圧も3ミリ程度上昇、さらにアルコール摂取後24時間は血圧に作用があると言われています(上がる・下がる両方)。

お酒の適量は「アルコール約20g」=日本酒1合・ワイン1/4本・ビール中瓶1本程度とされていますが、先ほどお話した通り個人差も多く出るのがお酒です。「自分はつよいから大丈夫」と過信せずに、医師などへ相談の元自分の適量を知ることも重要かもしれません。タバコに関しては「百害あって一利なし」と肝に命じましょう。

有酸素運動を1日30分

「日本動脈硬化学会」は酸素を深く多く取り入れることの出来る有酸素運動の継続を推奨しています。有酸素運動は善玉コレステロールを増やし中性脂肪を減らす、さらに脂肪燃焼にも効果が出やすい運動方法なので肥満防止・解消にも大きくサポートしてくれる方法です。また運動することでストレスがやわらぎ自律神経の乱れを整えたり良質な睡眠へとも導いてくれるでしょう。

※ただし、心筋梗塞などを起こした人や極度の肥満体型、関節に不調がある人などは医師への相談のもと行ってください※


さらに「日本動脈硬化学会」がすすめている有酸素運動の方法が「ウォーキング」です。1日30分以上を毎日継続することが理想ですが、無理をしすぎるのもよくありません。自分で出来るペースを考えて(週に3回から・10分を1日数回に分ける…など)継続していける方法を見つけましょう。またウォーキング時にはしっかりと背筋を伸ばし、歩幅を大きく取り、正しいフォームを心がけてください。もちろん、エレベーターを階段にする・1駅歩くようにするなども積極的に意識して日常的に運動を十分出来るようにするとベストかもしれません!

コレステロールを意識しつつ、良い生活習慣で動脈硬化を防ぐ!

動脈硬化を防ぐためには、コレステロールを意識しつつ…と言っても、お伝えしたように和食中心にするだけでも身体は喜びますのでまだ深刻でない場合には思い詰め過ぎず、食事を楽しみながら取り組んでください。そして適度な運動や禁煙、「良い生活習慣」を心がけていくこと。

最初からすべてを変えるのは難しいかもしれませんが、少しずつでも「良い生活習慣」を取り入れて、増やしていけるようにしましょう!

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